突然ですがショパンの家族構成を言えますか?

ショパン愛好家のみなさんには馬鹿にするなと怒られそうな質問です。簡単ですね。

父のニコラ、母のユスティナ、そして3つ年上の姉ルドヴィカと二人の妹、イザベラとエミリアです。ショパンは女姉妹に囲まれた環境で育ったわけです。

さてショパンの女姉妹ですが、実は姉のルドヴィカの他に、もう一人その上にお姉さんがいたことをご存知でしょうか?

名前はズザンナ。年はルドヴィカより5歳上、フリデリクより8歳上のお姉さんです。と言っても本当の姉妹ではありません。厳密に言うとユスティナ方の親戚にあたります。ショパン家で一緒に暮らしていました。

このショパンの4人目の姉妹ズザンナについてはビックリするくらいショパンの伝記で無視され続けています。多分、今この文章読んでても何のこっちゃと思ってる人も多いでしょう。解説します。

 

ズザンナについては、実はだいぶ以前からその存在が知られていました。ところが伝記等で取り扱われなかったのには何か理由があるようです。私が知る限りでは、ズザンナについて過去に日本語で書かれた本は、佐野司郎さんが翻訳されたイワシキェヴィチの伝記(『ショパン』音楽之友社)だけのようです。

この本に書かれている事をざっくり説明すると、ポーランドにおけるショパン研究の中でズザンナの扱いは不当だったらしいのですが、イワシキェヴィチは彼女に関する不名誉な主張について否定し、ショパン家にとって大事な存在だったと擁護。そのことについて翻訳者の佐野さんは「この主張が何であるか分からない」と正直に注釈で書かれています。

つまり、ズザンナについてはポーランドのショパン研究家の間では以前から知られていたにも関わらず不明な部分が多く、結果的に黙殺され続けてきたということです。

さて、このショパン家7人目の家族ズザンナ嬢。出生からどのような人生を歩み、ショパン家とどう関わったかについて知ることができないのかというと、ここで表題の件、岩波版『ショパン全書簡』に詳しく書かれているのです。彼女の生涯が紹介されるのは文字通り本邦初。そしてショパンが手紙の中で彼女についてどのように触れているかは実際に読んでみてください。ちょっと驚くと思いますよ。

ショパンのポーランド時代、大事な思春期を一緒に過ごしたズザンナ姉さん。彼女がショパンの人生や恋愛観に何の影響も与えなかったとは考えにくいんですよねえ。だってほら、将来ショパンの恋人になる人ってたしか6つ歳上の・・・

まあ、このように岩波版『ショパン全書簡』には我々のショパン観をひっくり返すような内容が含まれています。是非ぜひ手に取って読んでみて下さい。